第7回 新規事業のカギになる人たち(陸王の第1話より)

 

こはぜ屋の新規事業はスタートしました。

 

これから、たくさんの人が新規事業にかかわっていくことでしょう。第1話が終わったところで、3人の登場人物にフォーカスしたいと思います。宮沢社長の息子である宮沢大地(山﨑賢人)、こはぜ屋の専務取締役で経理を担当する富島玄三(志賀廣太郎)、そして埼玉中央銀行の行員である坂本太郎(風間俊介)です。

 

 

宮沢大地

社長の息子である彼が、会社の中でどのような仕事を行っているのか。ドラマの初回を見た限り定かではありません。できれば彼には、彼しかできないことを担当すべきですね。では、何を担当すべきなのか。それは新規事業の広報です。こはぜ屋の社員の中で、新規事業の広報が出来そうなのは彼しかいないと思ったからです。

 

まずは、新規事業に拘わるホームページとフェイスブックを立ち上げます。業者に頼むと費用が掛かるので、立ち上げるための解説書を購入し、セミナーを受講して作り方を勉強します。彼は若いので、すぐに作り方をマスターし、ホームページとフェイスブックを制作・公開してくれるでしょう。余裕が出てきた時にはツイッターやLINE等、フェイスブック以外のSNSについても情報発信を随時行います。

 

こはぜ屋のホームページの有無は、初回で描かれていませんので分かりませんが、これも彼が担当すべきです。ここまではネット広報についてお話ししました。さらにやって欲しいことがあります。

 

マスコミ(テレビ・新聞)に対しても情報発信してもらいます。具体的にはプレスリリースを作成して、新規事業と新商品の内容を伝えるのです。プレスリリースの書き方については、書籍がたくさん出ていますし、ネット検索すれば、プレスリリースのフォーマットや書き方を掲載したサイトを見つけることができます。

 

宮沢社長は新商品を抱えて営業したり、協力を要請したりすると思いますので、その際にアシスタントとして彼も同行します。いろいろなところに同行することで、情報発信するためのネタを見つけることができます。それを集めて区画整理し、コンテンツを作って継続的に情報発信するのです。

 

マスコミとネットを使って、上手く広報することで新商品が話題になれば、新規事業の成功を後押しすることができます。ただ、就職活動中の彼に、ここまでのことを要求するのは難しいかもしれません。さらに問題意識を持って行動できるかどうかも現時点では不明です。ただ、彼の力は必要です。

 

 

富島玄三

「私は反対です」

 

新規事業のアイデアについて、宮沢社長から意見を求められた時、ハッキリと意思表示をしています。

 

新規事業が立ち上がり、責任者を集めたプロジェクト会議においても資金面をはじめとして様々な懸念を述べています。新規事業のメイン商品であるランニングシューズの開発について、参加メンバーはヤル気を表明しますが、富島専務は浮かない顔をしています。

 

では、モチベーションの低い富島専務をプロジェクト会議のメンバーから外すべきでしょうか。社員数20名前後のこはぜ屋において、富島専務を外すことはできません。例えば、会議がイケイケドンドンで進行し、暴走することも考えられます。そうした暴走を抑えるためにも富島専務は必要なのです。

 

長い間、富島専務はこはぜ屋の経理担当として資金管理を行っています。先代社長の時代から、こはぜ屋のナンバー2として様々な苦難に対処してきたはずです。ですから、富島専務の行動原則は「安全第一」だと思います。本業をまじめに行って、それでも注文が減って売上が落ちた時には従業員をリストラすることも仕方がないと考えているのです。

 

縮小している足袋市場において、こはぜ屋が特別なことをしない場合、最後は廃業か倒産に至ると予想できます。

 

会社は、従業員とその家族、取引先である顧客企業、協力してくれる企業、そしてメインバンクがかかわっています。廃業や倒産によって会社がなくなると、かかわっている人たちに迷惑が掛かります。なんとしてでも従業員の雇用を守り、取引先や協力先との約束を守ることが、会社としての社会的責任を果たすことになるのです。

 

時代が変わり、顧客から商品やサービスが支持されなくなったら、支持される商品・サービスを作って、会社を存続しなければなりません。絶対に会社を潰してはいけない。どんなことをしてでも存続させること重要なのです。

 

宮沢社長は時代が変わっても会社を存続させるために、新規事業を考えて行動しています。富島専務は時代の変化とともに足袋市場が縮小しているのであれば、会社も縮小せざるをえないと考えています。ハッキリ言えば、専務の考え方では会社の未来はありません。

 

物語が進む中で、専務の考え方がどのように変化するのか注目していきたいと思います。

 

 

坂本太郎

こはぜ屋の将来を危惧し、新規事業を考えてみることを提案。坂本の言葉から宮沢社長は新規事業を意識して考えるようになります。ただ、坂本は言うだけの人物ではありません。第1話の中でも、具体的な3つの行動をしています。

 

一つ目は、スポーツショップを経営している有村融(光石研)を宮沢社長に紹介しています。ランニングシューズについて、豊富な知識やノウハウを持つ有村を宮沢社長に会わせることは、幅広いネットワークを持つ坂本にしかできません。有村とのコラボレーションで、新商品の実現化に一歩踏み出すことができたと考えられます。

 

二つ目は、新規事業の妥当性について、上司である課長や支店長に対して説明し、融資の実行を直談判したことです。本当にこはぜ屋と宮沢社長のことを思って行動する熱血漢ですが、支店長や課長は、そんな坂本が目障りになります。そして、突然の前橋支店への人事異動。これからという時に、坂本がいなくなるのは痛手になりますね。

 

最後は、人事異動のあいさつの後、ソールに活用できる素材として「シルクレイ」の見本を宮沢社長に手渡します。この素材が新規事業にどのように絡んでくるのか。現時点では分かりませんが、宮沢社長に対して良い置き土産になると考えたのかもしれません。

 

坂本は前橋支店に異動しますが、この後、こはぜ屋がピンチのときに助けてくれるような気がします。

 

 

さて、ここまで3人の登場人物を取り上げてきました。物語上の架空の新規事業であれ、実際の中小企業が行っている新規事業であれ、かかわっている人がどのように行動するかで成功するかどうかが決まります。

 

他人事ではなく自分事として、真摯に考えて行動する人に女神がほほ笑む。そう確信しています。こはぜ屋とその関係者のこれからに期待しています!