第10回 新規事業にかかわる人との信頼関係づくり(陸王の第4話より)

 

 

陸王プロジェクトにかかわる新規事業は、様々な人の協力や応援によって前進していきます。こはぜ屋の従業員と宮沢社長の家族については、信頼関係があるのは当然なので、ここでは外部協力者との信頼関係づくりについて検証していきます。

 

 

1.銀行員の坂本との関係
物語の中では描かれていませんが、こはぜ屋と坂本との信頼関係は強固ですね。前任の担当者から坂本に引き継ぎがあった時、宮沢社長もそれほど信頼を置いていなかったと思います。おそらく、坂本は時間を掛けてこはぜ屋という会社と宮沢社長と理解しようと努力したのでしょう。そして、宮沢社長に新規事業を提案できるまでになったわけです。

 

坂本はキーマンとして、陸王プロジェクトの成功のために役に立つ情報を提供したり、人物を紹介したりしています。これからもこはぜ屋のブレーンとして、情報提供やアドバイス、人を紹介してくれるでしょう。

 

 

2.スポーツショップ経営者の有村との関係
坂本からの紹介で、宮沢社長は有村との面識を得ることになります。ランニングシューズの基礎知識や走り方のメカニズムまで、有村からレクチャーやアドバイスを受けたことで、初期型の陸王の開発につながりました。

 

有村はショップの経営者なので、ランニングシューズを購入する顧客属性や好み等、ユーザー目線の情報も宮沢社長に伝えているはず。そして、この情報は重要です。茂木選手のようなトップアスリートのシューズを作るだけでは儲けになりません。あくまでも一般ユーザーが陸王を買ってくれることが肝心ですから。

 

宮沢社長は有村と何度も会い、「一般ユーザーが購入してくれる陸王とは何か」というテーマでディスカッションしていく中で、信頼関係が強くなっていくと思います。

 

 

3.シルクレイ発明者の飯山との関係
宮沢社長は「陸王を完成させるにはシルクレイをソールに使うことが必要です」と、飯山に伝えます。シルクレイの特許使用は引き合いのあった大手企業に決まりかけていましたので、飯山は「対応できない」と素っ気ない返事でした。しかし…

 

断られた飯山のところに宮沢社長は何度も通います。そして「一度、こはぜ屋の工場を見てほしい」と伝えます。宮沢社長の熱意に負けて、飯山はこはぜ屋を訪問します。工場の現場をみた時に、OFFになっていた「ものづくりへの情熱」がONになっていきます。

 

そして、大手企業の特許使用が破談になったことで、飯山は陸王プロジェクトに参加します。宮沢社長の思いの強さと断られても諦めない粘り強さによって、飯山の信頼を勝ち取り、ものづくりへの情熱に火をつけることができました。頼もしいパートナーになりそうですね。

 

 

4.シューフィッターの村野との関係
宮沢社長は有村から村野を紹介されます。ベテランシューフィッターの立場から陸王を検分し、茂木選手に最適であると断言します。この時、村野はアトランティスを退職していますので、宮沢社長は陸王プロジェクトへの参加を依頼。勿論、村野は快諾します。

 

村野は茂木選手の足型を持っているので、それに合わせて茂木専用陸王を設計すると宣言します。選手用シューズを設計できる能力があれば、一般ユーザー用も設計できるはずです。村野が加わることで、陸王の商品化に近づきますね。

 

ドラマの中で村野は社員として雇用されたのか、それとも外部アドバイザーのような立場なのか。その当たりがハッキリしません。ただ、宮沢社長も村野もお互いを信頼していることは間違いありません。

 

 

5.ダイワ食品の茂木との関係
坂本、有村、村野という出会いから、宮沢社長は茂木選手と面識を得ることができました。ビジネス的に見れば、茂木選手は陸王の広告塔という位置付けです。それは宮沢社長も茂木選手もよく分かっていると思います。

 

ただ、宮沢社長は故障して復活を目指す茂木選手を心から応援し、陸王を提供することでサポートしたいと考えています。そして、茂木選手の復活にこはぜ屋の再生を重ね合わせています。なので、ビジネスを超えたサポートをしようと動いてきたわけです。茂木選手もその気持ちを理解し、こはぜ屋と宮沢社長と信頼しています。これからの展開が楽しみになりました。

 

 

ざっくりですが、宮沢社長が外部協力者と信頼関係を作ってきた流れをお伝えしました。うまくいった要因はいろいろあると思います。その中で、宮沢社長の考え方を3つ列挙したいと思います。第一に陸王を成功させるというぶれない軸。第二に断られても諦めない粘り強い交渉力。最後に陸王にかかわる仲間を大事にする包容力です。協力者や関係者は陸王プロジェクトの成功を確信しているはずです。